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移住者インタビュー

瀬戸内の小さな島で丁寧に焼き上げる天然酵母の石窯パンが大人気

今治市島暮らし起業子育て

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松山から車で約1時間。しまなみ海道の大島で、天然酵母のパン屋さん「Paysan(ペイザン)」を営む求(もとめ)光章さん、ゆう子さん夫婦。週2日の営業日には、おいしい石窯パン目当てに、わざわざ遠方から足を運ぶファンも多い人気店だが、店が軌道に乗るまでには、田舎暮らしの理想と現実とのギャップにも直面した。移住して13年目を迎えたお二人に、島暮らしの本音を伺った。

Q 大島に移住を決めるまでの経緯を教えてください

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▲店名のPaysanはフランス語で「農夫」の意味をもつ

(光章さん)・・僕は、もともと神戸の出身で、都会暮らしをしていましたが、ずっと田舎暮らしに憧れていました。田舎暮らしのスタートとして、ここに来る前に3年ほど、知り合いに誘われて和歌山のパン屋さんで働いていましたが、山に囲まれたジメっと暗い環境だったこともあって、次第に明るい海辺の暮らしに惹かれるようになって。漠然と、親戚がいる九州がいいかなと、九州への旅行の途中に、ぶらっと立ち寄ったのがこの土地との出合いでした。

(ゆう子さん)・・子どもが小さい頃から、永住地探しをずっとしていて、和歌山にいた時も、連休になると、箱バンに荷物を詰めて、安宿に泊まったり、キャンプをしたりしながら、ツテに紹介してもらった家を、あちこち見て回っていました。
ただ、どこの田舎でもそうだと思うのですが、空き家はあっても、なかなか実際に借りられる家は少なくて。土地探しを兼ねた旅行で、しまなみ海道の島を一つずつ順番に巡って、最後に辿り着いたのがこの大島だったんです。

(光章さん)・・それまで、僕には全くその気がなかったのですが、彼女がネットで下調べをした不動産屋さんでみつけたこの家を見に来て、「あっ!ここだ」と直感で気に入ってしまって。
この家は畑付きで250万円で売りに出ていたので、10年住んだら元はとれるだろうと、新車を買うつもりで購入しました。タイミング的にも、長男が小学校にあがる前なら、転校にならないので、環境にもなじみやすいかなと。
 
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▲駐車場からお店までのアプローチには、ゆう子さんが手作りしたかわいい看板があちこちに。宝探しのような「わくわく気分」が楽しめる

 

Q いくつもの物件を見た中で、この土地に惹かれた理由は?

(光章さん)・・一番は海がきれいなことにびっくりしました。神戸に住んでいた時に見ていた瀬戸内海のイメージと全然違いましたね。本当は、家から海がみえる場所が良かったのですが、ここも裏山の向こうはすぐ海で、まさにプライベートビーチ状態です。

(ゆう子さん)・・私たちは、もともとネアカで、人好きな性格なので、海辺の明るい環境があっていたんでしょうね。最初は、ここをベースに、家から海の見える場所をじっくり探そうと思っていましたが、ここで商売を始めてしまったので、簡単には動けなくなってしまって。今もあきらめてはいませんが、なかなか、次の土地にご縁がなくて。

Q 大島に移住されて良かったことは?

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(光章さん)・・やっぱり環境がいいことですね。食べ物もおいしいし、周りの人が明るくて親切。来た当初はキッチンがボロボロで料理ができなかったのですが、近所の人がおかずを持ってきてくれて。

(ゆう子さん)・・そういった人のやさしさに、毎日感動しまくりでした(笑)。もともと身内が九州の人間ということもあって、すぐにお酒を交わすような人懐っこい付き合いに馴染みがあるので、この島の気質が、私たちには、ほどよい感じでしたね。

 

Q 島の子育て環境はいかがですか?

(光章さん)・・子育てにはすごくいい環境ですね。島育ちの息子達は、島が大好き。息子たちの同級生は、1クラス22〜23人とクラス替えが出来ない人数なので、保育園からずっと一緒です。

(ゆう子さん)・・こちらに来て今年で13年目ですが、今では2人の息子も高2と高3に。こちらに来た当初は、島に高校がありましたが、今はなくなってしまったので、しまなみ海道をバスで渡って、今治の高校に通っています。

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▲今治と大島を結ぶ来島海峡大橋

Q 逆に移住してご苦労されたことは?

(ゆう子さん)・・仕事がなかなか続かなかったことですね。転職ばかりして、ご近所のお年寄りも心配してくださって。

(光章さん)・・僕は、もともと仕事には全くこだわりがなくて、こちらに移る時もガードマンでもしながら、家族が食べていければいいという軽い気持ちでした。来た当初は、今治の造船所に勤めたり、新聞配達をしたり、漁師さんのお手伝いしたりと、いろいろな職に就きましたが、どれもなかなか長続きしなくって。僕にとっては苦労ではないけど、家族には苦労をかけましたね(笑)。

(ゆう子さん)・・やっぱり、子ども2人を養うのに、最低これだけは欲しいという収入を稼ぐのがなかなか大変で、現実を知ったというか。それまでは、知り合いを通して声をかけてもらった職場で大事にしてもらうことが多かったけど、今回は、自らこの土地を選んで来たので、そういうツテもない。
実際、田舎の賃金は低いので、やっぱり、都会とは違うんだなというのが現実でしたね。
田舎に引っ越してきて、のんびり暮らしたいと思いながらも、現実はそう甘くないと思い知らされました。

(光章さん)・・それでバイトしながら、ちょっとずつ準備をはじめて、和歌山での経験を活かしたパン屋をはじめることになりました。僕は兵庫にいた時に、大工仕事の経験も3年ぐらいあったので、店のリフォームも、パンを焼く石窯も自分たちでコツコツと手作りしました。結果的には、ここでの暮らしは、これまでやってきた仕事の集大成のような感じになっていますね(笑)。

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▲味のある古材や古道具をセンス良くリノベーションしたカフェスペース

Q Paysanは週2日の営業ですよね。

(光章さん)・・営業日は2日だけですが、天然酵母のパンは仕込みにも丸2日かかるので、パンに携わるのは週4日ですね。それ以外にも石窯の薪の調達とか、いろいろ細かい作業もあります。
営業日は、夜中の0:30から石窯に火を入れて温めはじめ、11:00の開店まで夜通しの作業が続くので、週2日の営業日をこれ以上増やすのは、体力的にも限界ですね。
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Q やはり天然酵母の石窯パン作りは手間がかかるのですね。

(光章さん)・・実はいろいろ仕事をしてきた中でも、パン屋が一番大変な仕事だったんです。今は週2日の営業なのでちょうどいい感じですが、これが毎日だと、せっかく田舎暮らしをしている意味がなくなってしまう(笑)。

(ゆう子さん)・・やるからには、おいしいパンを提供したいですしね。パンの種類は季節によって変わりますが、今はハード系やお菓子パンに、ベーグルも入れると約50種類ぐらい用意しています。
お互い作業のペースが違うので、パンの製造は主人が専門です。一緒にやると喧嘩になっちゃうので(笑)。そのかわり、店の接客やディスプレイは私が担当で、口出しさせません(笑)。
それこそ、規模を大きくやろうと思ったら、人を雇って、製造も増やせるのでしょうけど、頑なに本人にその気がなくて(笑)。最低限、家族が食べて行けたら、それでいいと。

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▲オーガニックレーズンから発酵させた自家製天然酵母を使ったこだわりのパン。手づくりの石窯で、外はカリッ、中はしっとり焼き上げたパンは午前中で売り切れることも

Q ネットでパンの通販もされているんですよね。

(光章さん)・・そうですね。島で店をやっていると、通販での販売ウェイトも大きいです。土曜日は店売りの方が多いですが、平日の営業日である木曜日の売上は6割が通販ですね。
田舎でビジネスをするには、店の存在をお客さんに知ってもらうことが大切です。たまたま僕らは、店をオープンした次の年の春に、田舎暮らしの雑誌に大きく紹介してもらったおかげで、知ってもらった部分が大きい。今でも、あの雑誌をみて、「ずっと来たかったんです」と言って下さる方がいるほどで。

Q お店には、カフェコーナーもあるのですね。

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(光章さん)・・最初はパンの販売だけでしたが、わざわざ遠方から来ていただいて、パンだけ買って帰っていただくのもなんだか申し訳無くて。少しずつ飲食スペースを広げていった感じです。

(ゆう子さん)・・最初は、このテラス席もなくて、犬小屋の場所だったんですよ。ちょっとずつカフェスペースが広がっていって、犬小屋がどんどん奥に追いやられていくのを常連さんは、笑いながら見守ってくれています(笑)。
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Q 地元の方との交流はいかがですか?

(ゆう子さん)・・神事での集まりとか、掃除とか、地域の活動は多いですね。これは田舎で暮らすのであれば、どこに行ってもつきもの。田舎は都会と違って干渉されることも多いけど、いい意味でみれば、常にみなさんが見守ってくださっている環境です。特に、子どもが小さい時は、悪いことをしたら、ちゃんと怒ってくださいますし。都会ではそういうことがなかったので、子ども達がのびのび成長しているのは、地域のみなさんのおかげですね。

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Q 今後の目標を教えてください。

(光章さん)・・子どもが大学を出るまでの間は、しっかり稼がないといけないけど、子どもの手が離れたら、どっぷりと趣味に走りたい(笑)。今も少しはやっていますが、釣りやランニングの時間をもっと増やしたいですね。

(ゆう子さん)・・Paysanとしては、今の状態をキープしていけたらいいなと。田舎でありながらも、若い方たちが結構訪ねてきてくださるので、田舎ならではの環境を大切にしながら、都会では得られない島の豊かさを楽しんでいけたら。
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Q 島の魅力を発信する「Shima2 Net」の活動について教えてください。

(ゆう子さん)・・「Shima2 Net(しましまネット)」は、島で暮らす主婦4人がボランティアで、島の魅力を発信する「Shima2 times(しましまタイムズ)」という島の生活情報誌の発行と「Shima2クラフト市場」の運営を行っています。7年前の立ち上げ当初は、私は生活するのに必死で、「Shima2 times」の挿絵のお手伝い程度でしたが、今では無謀にもデザインまで担当することになって(笑)。
4人のメンバーそれぞれ、得意分野をいかして、島のイイモノや、ステキなおじいちゃん、おばあちゃんを紹介していけたらなと、無理せず、楽しく活動しています。

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▲「Shima2 times第7号」では、しまなみ海道の移住者を大特集している

Q 田舎への移住を考えている方や移住して間もない方に移住の先輩としてアドバイスをお願いします。

(光章さん)・・やっぱり、郷に入れば郷に従う覚悟を持って、隣近所と交流を深めるべきですね。田舎の人は面倒見がいいので、甘え上手な人が馴染みやすいのかもしれないですね。

(ゆう子さん)・・一番は何で稼ぐかですよね。多分若い人ほど、仕事がネックで田舎暮らしを断念されている方も多いのではないかと思います。私たちのスタートの時のように、最初はお勤めでもいいと思うのですが、「移住=自営」でがんばろうという人は、自分たちがすることへのしっかりとした覚悟がいると思います。
というのも、田舎で何かを始めれば、それだけで最初は目立ちますが、地元の声と、他所からの声は違うもの。どちらからも100%受け入れられる店は現実には難しいので、こういう場所で商売を続けていくには、自分たちがすることへのゆるぎない自信をもって、ちゃんとおいしいものを作っていくことが大切なのかなと。そうすれば、きっとお客さんは来てくれると思います。

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Q 若い移住希望者の中には、「田舎暮らしはこうでなきゃ」という理想に縛られてしまっている印象の方もいらっしゃいますが?

(ゆう子さん)・・私たちもそうでしたね。はじめは自給自足の田舎暮らしを夢見ていましたが、実際にやってみて、自分たちは自給自足向きではないなと気づきました。梅干しも実際漬けてみると、これが結構大変で(笑)。

(光章さん)・・最初は、畑もやるぞと張り切っていましたが、近所の人がけっこう野菜をくれるんですよ。近所からお野菜をいただいたら、パンをお返ししたり、今では物々交換みたいな感じになっていますね。

(ゆう子さん)・・田舎に引っ越してきたら、必ず畑を耕さないといけないというのも違うと思うし、本当にやれることだけ、無理せずにやっていけばいいのかなと。仲間ができたら、作った物を物々交換すればいいし、田舎暮らしには、そういう柔軟性も必要なのかもしれませんね。

PROFILE

移住先エリア

移住先周辺の地図であり、正確な場所ではありません。

求(もとめ)光章さん(45歳)、ゆう子さん(42歳)
2002年に和歌山から大島(今治市吉海町)に家族でIターン。
2006年に天然酵母のパン屋Paysanを開業。
現在は、高校生の息子さん2人と、愛犬1匹、にわとり5羽と島暮らしを満喫中。

●Paysan(ペイザン)
http://www.q-paysan.com
●Shima2 Net(しましまネット)
http://shima2net.jugem.jp

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