愛媛で暮らそう!えひめ移住支援ポータルサイト e移住ネット

移住に関する お問い合わせ えひめ移住情報アラカルト
文字サイズ
  1. トップ
  2. 移住者インタビュー
  3. 久万高原町の古民家で「いってんもん」の彫刻を創作

移住者インタビュー

久万高原町の古民家で「いってんもん」の彫刻を創作

久万高原町山暮らし起業子育て

01zerokoma.jpg

久万高原の森の中でイメージした「いってんもん」の作品を創作する彫刻家の零駒無藏(ぜろこまむぞう)こと、春駒英一郎さん(49歳)。林業に携わりながら、1年以上かけて見つけた久万高原町の古民家で、陶芸家の奥様の麻亜子さんと、幼稚園に通う娘の鈴ちゃんと一緒に山暮らしを楽しんでいます。

Q まずは、愛媛に来られるまでの経緯を教えて下さい。

僕は、もともと東京生まれの東京育ち。
四国へは27歳の時、スケッチ旅行で香川県の庵治町へ来たのが最初です。
その頃は、絵描きを目指していて、仕事を1ヶ月休んで、築100年のボロボロの古民家を借りました。ちょうど、世界的彫刻家であるイサム・ノグチさんのアトリエの近くの山の上ですね。

そこで、四国の風景を描いていたのですが、いい若いもんが昼間からぷらぷらしていると、近所の人があまりいい顔をしない。それで、近くに住んでいた彫刻家が「自分のところで働いていることにしたら」と誘ってもらった流れで、そのまま弟子入りすることになりました。

02zerokoma.jpg
▲ 現在も趣味で続けている油絵

零駒無藏(ぜろこまむぞう)という作家名は、その時の師匠の空充秋(そらみつあき)に付けてもらいました。師匠曰く、本名の春駒英一郎は、なんだか歌舞伎役者みたいだと(笑)。

名字の零駒には、「持ち駒がゼロ、ゼロからのスタートだよ」という意味が、名前の無藏には、「彫刻家は一生貧乏だから、藏は持てないぞ」という作家としての心構えが込められています。

その後、石材店に勤めながら、5年ほど石彫を続けていた間に、愛媛県の建設会社の社長が僕の作品を気に入ってくれて、その建設会社に彫刻家として採用されたのが、愛媛に来たきっかけです。
03zerokoma.jpg

Q 愛媛に来てからどれくらいになりますか?

愛媛に来て15年になりますね。最初の6年間は、建設会社に勤めながら作品を作っていたのですが、限界を感じて独立することになり、松山市郊外の森松町に住居兼アトリエを構えました。

そこで、2年ぐらい創作活動をしていて、ようやく住み心地が良くなってきたなと思っていた頃に、ご近所から作業の音がうるさいと言われるようになって。
そういう問題が起こってから、久万高原町に限定して、作業場兼住居を探し始めました。

Q どうして久万高原町に限定したのですか?

17zerokoma.jpg

久万高原町は、景色がきれいで気に入っていた場所でしたし、山間部なら、周りに民家が少ないので、作業の音が気にならない古民家があるだろうと。

家探しは、「e移住ネット」のような行政の移住支援サイトでいろいろ調べたり、久万高原町役場の人にお世話になったりしながら、1年以上続けました。

その間、かなりたくさんの物件を見ましたが、結論から言うと、いくつか条件に合う家は見つかっても、なかなか最後の一押しができない。大家さん自身はOKでも、親戚の方が他人に家を貸したがらなかったり、家の中に荷物がたくさん残っていたりと、いろいろな事情で話が流れてしまう。田舎に行けば行くほど、自分たちの思い出がある家を知らない人に貸すのは抵抗があるみたいですね。

ちょうど古民家探しが難航していた時に、久万高原町の林業担い手会社「いぶき」が職員を募集していたので、先に久万高原町で仕事を始めることにしました。

久万高原町の地場産業に勤めていれば、職場の人から古民家を紹介してもらえるかもしれないし、借りる際も、地場産業に勤めている人なら貸してもらいやすいだろうという、最後の一押しを期待しての転職でした。

Q 現在のお住まいは、どうやって決まったのですか?

04zerokoma.jpg

今の会社の班長さんの紹介で、トントン拍子でお借りすることができました。やはり、地域の人のつながりの中だと話が早い。その日のうちに、鍵を貸してもらえて、すぐに話がまとまりました。

05zerokoma.jpg
この家は、外観はあまり古民家風ではありませんが、中に入ってみると、総松造りの立派な内装で、一目で気に入りました。隣にあった物置も貸してもらえることになって作業場も確保できました。

 

06zerokoma.jpg

松山の建築会社に勤めていた時に、現場監督や店舗内装の仕事もしていたので、古民家の改装も自分の手で半年ぐらいかけてしました。家具もほとんど手作りです。

07zerokoma.jpg

家の修理が一通り終わってからは、ツリーハウスやシーソーなど、子どもの遊具も作っています。ここに来て、この夏で4年目になりますね。

08zerokoma.jpg

 

Q 久万高原町での生活はいかがですか?

子育てするには、すごくいい環境です。こちらに来た当初は、周りに人が少なかったので、ちょっと人恋しかった部分はありましたが、娘の鈴が、みんなに挨拶して顔を売ってくれたおかげで、近所のおじいさん、おばあさん全員、すぐに顔見知りになりました。子どもが少ないこともあり、地域の目で見守ってもらっているなと感じますね。

09zerokoma.jpg
▲温かいファンヒーターの上が指定席のこまりちゃん

娘が通う幼稚園は全員で13人しかいませんが、小学校が隣接しているので、兄弟じゃなくても、上の子が下の子の面倒を親身になってみてくれます。
「人類みな兄弟」という言葉がありますが、まさにそれを地でいっている感じですね。

こちらで暮らし始めてすぐ、地域の人は僕たちの顔を覚えてくださったけど、僕は、日中仕事に出ているので、ご近所づきあいは嫁さんが担当です。僕は、秋祭りなど地域の行事を通して、だんだんと親しくなってきました。

10zerokoma.jpg
▲放し飼いのにわとり

それから、久万高原町は山の恵みが豊かですね。春は、家族で山に入って、たらの芽、ふきのとうを採るのが毎年楽しみです。秋には、きのこに詳しい林業の師匠が、いろんなきのこを食べされてくれます。あと、ご近所さんから、野菜もいっぱいもらえて助かります。

Q 奥様は、愛媛県のご出身ですよね。

私は、松山市のお隣の松前町の出身です。彼が、松山の建設会社に勤めていたときに、松山の陶芸教室で知り合いました。
現在は、英会話スクールで仕事をしていた経験を生かして、娘の幼稚園のお友達を中心に、子ども向けの英会話教室を自宅で開いていますが、本業は陶芸家なんです。

今も、松山の老人ホームで、月に2回教えていますが、ゆくゆくは窯を手に入れて、自宅でも焼き物をやっていきたいなと思っています。

11zerokoma.jpg
▲麻亜子さん作の「いってんもの」の器

Q 零駒さんの作品の特徴は?

12zerokoma.jpg

もともとは石彫家でしたが、久万高原町に来てから、木と石の両方を組み合わせた具象の作品を作っています。

現在は、生活のために林業をやっていますが、仕事で森の中にいると動物に出会うことが意外と多い。シカだったり、イノシシだったり、たいてい一人でいる時にばったり会います。そういうイメージが作品に反映されています。

13zerokoma.jpg

林業は、雨が降ると基本的にお休みなので、年間トータルするとかなり休日があります。作品作りにかける時間はしっかりとれますね。

Q 今後の彫刻家としての目標は?

一つは、久万高原町内の手作りイベントで、ツリーハウスやブランコといった手作りの遊具の貸し出しができないかなと模索しています。

14zerokoma.jpg

もう一つは、精力的に彫刻の個展を実施していきたいですね。昨年は、愛媛県内のギャラリーで2回、個展を開きましたが、まだ久万高原町で活動していることをあまり知られていないので。

15zerokoma.jpg
自宅の工房には、「1つしかないものしか作らない」というイメージで「いってんもん」という名前を付けていますが、まだ、誰にも知られていないので、これから徐々に広まっていけばいいなと。まずは、作品を知ってもらうことから始めたいと思っています。

16zerokoma.jpg

Q 今後、移住を考えている方にアドバイスをお願いします

移住するには、どうしても住む家がないことには始まらない。田舎に古民家はいっぱいあるけど、実際に借りることは難しい物件が多い。「空き家バンク」など、行政のサイトを通して、貸してもらえる古民家の情報が入手しやすくなるといいと思います。

それと、移住するには住む家だけじゃなく、仕事が必要です。
今、勤めている会社は、ずっとIターンを受け入れてきましたが、国の政策が変わったため、新しい人を雇用しづらい環境になっています。

林業は久万高原町のメインの産業。地場産業が盛んになると、町が元気になります。雇用面でも、行政等のサポートが受けられるといいですね。

********************************************************************

零駒無蔵さんから近況のご連絡をいただいたのでご紹介します。

%A5%C8%A5%C3%A5%D7-thumb

零駒さんはそれまで勤めておられた林業会社を退職され、現在住んでいる古民家の一角でお店を開こうと準備されているそうです。
お店の名前は工房と同じ「いってんもん」で、零駒さんが作られた木製の器や奥様の作られた陶芸品を販売する予定です。

%B4%C7%C8%C4-thumb

零駒さんの作る木製の器は緩やかな曲線で作られており、広葉樹を材料にしているため、仕上がりもツルツルしていて触り心地の良い器に仕上がっています。
彫刻では鹿など具体的な形を持った、男性的な迫力のある作品を作っていますが、器に関しては女性的な柔らかみを持つように心がけて彫っているそうです。

%B4%EF-thumb

現在は実用性をさらに高めるため、何度洗っても使用できるように、また一つ一つ形が違っていても重ねて収納できるように改良を繰り返しているとのことです。

%C5%B9%C6%E2%AD%A2-thumb

 

奥様の麻亜子さんが作る陶芸品も、零駒さんと同じで「世界に一つしかない」いってんもんであることが特徴です。土や釉薬にもこだわっており、白や黒の色をして綺麗な質感に仕上がっています。いずれは自分の窯も持ちたいと意気込んで話してくださいました。

%C6%AB%B7%DD-thumb

暖かくなり、人が訪れてくれる4月に開店したいので、久万高原町に来られた方にはぜひ立ち寄ってほしいとのことです。

PROFILE

移住先エリア

移住先周辺の地図であり、正確な場所ではありません。

彫刻家・零駒無藏(ぜろこまむぞう)こと
春駒英一郎(はるこまえいいちろう)さん(49歳)

2008年に、奥様の麻亜子さん、娘の鈴ちゃんの家族3人で久万高原町にIターン。林業に携わりながら、自宅に工房「いってんもん」を設立し、久万高原の木と石を使った彫刻を精力的に創作している。

この記事の関連リンク