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移住者インタビュー

自ら命名した「青いレモンの島」で面白い農業を目指す自由人

上島町島暮らし農業

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愛媛県立果樹試験場岩城分場長として赴任した上島町の岩城島が気に入り、定年退職後、そのまま柑橘農家として島に定住を決めた脇義富(わきよしとみ)さん(63歳)。「青いレモンの島」のキャッチフレーズの産みの親でもあり、NPO法人「豊かな食の島 岩城農村塾」の代表として、移住希望者の就農支援にも力を注いでいます。新しい技術を使った面白い農業で「島の活性化」を目指す脇さんに岩城島の魅力を伺いました。

Q 岩城島に定住を決めるまでのいきさつを教えてください。

もともとは、香川県の丸亀市の出身で、昭和46年に愛媛県に入ってすぐの新任地が愛媛県立果樹試験場岩城分場でした。それから、昭和59年まで13年間、岩城島で農業指導にあたりました。その時、岩城島の「青いレモン」を特産品として全国に売り出しました。その後、松山の果樹試験場に異動しましたが、平成3年4月に再びこちらの果樹試験場岩城分場へ分場長として戻ってきました。
平成19年春に退職し、そのまま、ここで農業を始めることになりましたので、人生の大半を、岩城島で過ごしている計算になりますね。

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▲ 青いレモンの爽やかな風味が楽しめる「レモンティー」

Q 退職後、岩城島で農業を始めたきっかけは?

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平成19年春に定年退職するまで、果樹試験場のプロの技術者として、「こうすればおいしくなるよ」と農家を回って技術指導をしていました。そうしたところ、上島町の農業委員会の方に、「そんなに立派な技術なんだったら、ぜひ岩城島に残って実践して、みんなの見本になったらどうですか」と要請されまして(笑)。

農地は、農業委員会が、良い土地をお世話しますという話だったのですが、立派な農地を借りて始めるのでは面白くない。新しい開墾方式で、自分が思うような農地にしたかったので、荒れた山を借り、自分で重機を使ってゼロから開墾しました。

Qどのような農地を目指したのですか?

これからの柑橘栽培は、高齢者でも無理なく一人で出来る形でないとダメ。そこでまず、「車が入る畑」に整備しました。軽トラックがみかんの木に横付けできるように、植え付けの間隔を広く取ってあるので、作業はぐんと楽ですね。

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▲畑の中まで軽トラックが入るよう整備された農地

Q 最初に栽培を始めた品種は?

まずは、年間を通して安定した収穫が見込めるレモンからスタートしました。それから、値段の安い早生の温州みかんの苗木を1000本ほど買って、それに「せとか」や「はれひめ」など、新しい品種を接ぎ木して栽培をはじめました。

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▲独自の高い技術を生かした栽培法

技術が有れば、新品種の高い苗木を買わなくても栽培する方法はいろいろあるので、まずは自分の畑で実践して見せていこうと。話を聞くだけでは誰も動かないけど、畑を見せると、みんな納得して、マネしてくれるんですよ。
私が研究した「交互結実法」や「斜め植え法」は、とてもいい技術だと確信していますので、できるだけ広く普及していきたいですね。

他にも、安い素材で作るビニールハウス作りにも挑戦しています。そういう新しいやり方を自分で考えて、始めていかないと誰もついてこないですね。

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▲コストをかけないビニールハウスの実験中

 

Q 現在の農地はどれくらいあるのですか?

最初は、5反(約50アール)でしたが、3年目を迎えた現在は、2町2反(約220アール)と約4倍になっています。ただ、私の場合は、トラックが入るように植え付けをしているから、実際の植え付け面積は、通常の半分程度になりますね。
島内10ヵ所にある農園には、冷蔵庫や応接セットも備えた休憩所を2ヵ所作っていて、隠れ家的に使って遊んでいます(笑)。

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▲ 冷蔵庫や家具も置いてゆっくりと寛げる休憩所の一つ

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▲ 壁にはレモンを描いた趣味の油絵や、島の活性化への取り組みの功績を称える表彰状も

Q 現在、農作業はお一人でされているのですか?

基本的に、農作業は一人でやっています。車が入る畑にしたり、苗木を大きくしない栽培方法など、一人でやれるようなやり方をいろいろ試しながら省力化していますので。

ただ、3年ほど前に、息子夫婦が「農業をやりたい」と東京から戻ってきて、仕事が休みの土・日は収穫を手伝ってくれます。

現在は、息子夫婦と3人の孫との6人暮らし。私は、もっぱら「作る人専門」で、みかんの箱詰めや販売の電話応対など、販売面は、息子のお嫁さんが全部してくれています。

女房は、松山に赴任していた時の家があるので、そちらを守ってくれています。私たち夫婦は、お互いに自由人なので、私が岩城島で生活することを理解してくれて、お互いに行き来しながら楽しく暮らしています。

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▲トマトやイチゴなどを栽培しているビニールハウス

畑では、孫が好きなイチゴやトマトをはじめ、野菜、じゃがいも、しいたけなど、いろいろ育てていますね。日本ミツバチも飼っているので「はちみつ」も自家製ですよ。
農家は、やはり、量は少なくても、家族が喜ぶおいしいものを作らないといけない。お米以外の食べるものはほとんど全部作っていて、余ったものは直売所などで販売もしています。

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▲手作りはちみつのおいしい「はちみつレモン」

 

Q 現在育てている柑橘の種類は?

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レモンは、ハウスと露地があるので、一年中ずっと収穫できます。それ以外も、ほぼ一年中、極早生の温州みかんにはじまり、ライム、紅まどんな、はれひめ、せとか、たまみといった具合に、いつでも何らかの柑橘が収穫できるよう収穫期をずらして栽培しています。

販売する時は、1種類だけじゃ面白くないので、いろいろな柑橘をミックスして、品種の名前や特徴を書いた手作りのカードも一緒に入れて送っています。カードやチラシを入れて販売することで、商品に対する責任感も生まれますし、リピーターの獲得にもつながりますね。

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▲品種と特徴を分かりやすくまとめた手作りカード

Q 今後、栽培に力を入れている品種は?

長年、岩城島に向いている新しい品種をみつけ、それを栽培し、日本で最初に商品として売り出すという仕事をしてきたので、これからも島にあった新しい品種をみつけて、いかに商品にしていくかを考えています。現在は、姫レモンという「赤いレモン」の産地化に挑戦しています。

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▲姫レモン

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▲レモンの味比べ

岩城島特産のライムの「青」とレモンの「黄」に姫レモンの「赤」が加われば信号機の三色になるでしょ。バーで3回カクテルが楽しめるというような売り方もできるんじゃないかなと思っています。

それから、レモンに似た形の「弓削ひょうかん」も面白いですね。台湾から導入した幻の柑橘で、ジューシーでさわやかな風味が特徴です。収穫期が4〜5月と、他の柑橘と重ならないのも商品作物として魅力的ですね。

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▲弓削ひょうかん

それから、新品種の「たまみ」は、昨年、国や上島町からの助成を受けて産地化に取り組んでいる最中です。「たまみ」は、糖度が高く、香りが豊かで、味が濃厚。果汁はジュースにすると真っ赤になっておいしいので加工にも向いていますね。

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▲たまみのジュース

Q 新品種を栽培するかどうかの見極め法は?

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新品種が栽培に向いて、消費者に合うかどうかを知るには、直接、消費者の声を聞くのが一番。
そのためには、自分たちで、特産品の販売のイベントを企画して、神戸や仙台など、全国のいろいろなところへ売りに行っています。

そこで、消費者の生の声を聞くと、売れる品種と売れない品種の違いがよく分かります。
消費者の行動は、はっきりしていて、特徴のない柑橘はまず売れない。
実際に直売に出かけて、新しい品種が、高い価格で飛ぶように売れるのを目の当たりにすると、新しいことに挑戦していく意欲にもつながります。
新しいもの、おもしろいものを発信していれば、自然と人が寄ってきてくれます。バイヤーさんからも声がかかるようになり、販路の拡大につながりますね。

 

Q 岩城農村塾の活動について教えてください。

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▲積善山からみたしまなみ海道の絶景。ワーキングホリデーの参加者に島内を案内することも多い

NPO法人「豊かな食の島 岩城農村塾」は、岩城島に2003年にIターンしたレモン農家の古川さんの発案で立ち上げました。メンバーは農家13人プラスそのご家族です。

活動の目的は、ずばり「Iターン就農希望者」の受け入れサポート。新しい人を受け入れるには、行政の支援と、実際に面倒をみる住民組織の連携が必要です。

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農村塾では、島の暮らしを1週間で体験できる「ワーキングホリデー」の農業研修を担当したり、新規就農者のための耕作放棄地の再生などにも取り組んでいます。就農希望者を呼び込むため、「アイランダー2010」のような、県外で島をPRするイベントにも参加しています。

あと、自分たちの研修にも力を入れていて、今年は、「お母さんの宿100選」に選ばれた内子の古久里来(こくりこ)さんに行ったり、高知の馬路村に世界一のピザ職人が来た時に、石窯ピザの勉強に行ったりしました。

先日の総会も、うちの畑で、特産のレモンポークを焼いたり、みんなで持ち寄った食材を食べて、ワイワイ賑やかに楽しみました。農村塾の活動の最大の目的は島の活性化。おもしろくないと続かないので、みんなで楽しく遊ぶことばっかり考えていますね(笑)。

Q 岩城島で柑橘栽培を目指す方に島の魅力を教えて下さい。

まずは、柑橘栽培の高い技術があること。
今はなくなりましたが、古くから柑橘の試験場があったことで、岩城島の風土に合う特産品が研究されてきました。「せとか」や「たまみ」といった新しい品種の柑橘は、越冬が必要ですが、岩城島の風土に合う品種が産地化されています。他にも、適地性のある品種をたくさん持っているのが強みです。

島の気候が柑橘の生育に合っているので、とりあえず、年間を通して収穫できる特産のレモンを作っておけば、ある程度の生活はできます。

昔から、レモンができる土地は、世界でもトップクラスに住みやすいといわれていますが、サンフランシスコにしろ、イタリアにしろ、確かにレモン産地は住みやすい土地が多いですよね。

岩城島も柑橘栽培に向いた山があり、野菜が作れる平坦地があり、おいしい魚がとれる海があり、歳をとっても住みやすいところ。温暖で、人間にとって、一番住みやすい環境ですよね。

それから、柑橘類の販路が幅広いことも魅力です。島内に、誰でも出荷できる朝市や物産センターがありますし、第三セクターに柑橘の加工施設があるのも他にはない利点ですね。
そういう意味では、岩城島はある程度、自由に農業ができる土地。柑橘農家として恵まれた環境です。

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▲島の特産品販売所

それと、島に暮らす人たちの人柄がいい。移住者を支援するNPO団体もあり、受入体制が整っています。
さらに、平成23年の春には、上島町が進めている定住促進住宅も完成します。そちらには、住民同士の交流を深める「囲炉裏の間」もできるので、いろいろな形で、定住希望者のサポートが楽しくできればと思っています。

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▲建築中の定住促進住宅

Q 柑橘農家としての今後の夢は?

農業は自由がきくと言われるけれど、今の農業政策では、自分で考える農家が育ちにくい。自分の力で自由にやっていこうとするなら、経営感覚を持ってやっていかないといけない。

私は長年、柑橘の試験場に勤務し、日本で一番のプロだと思って研究・指導をしてきました。在職中は、1000万円儲ければ後継者が育つと農家を指導して回っていましたので、島の方から、ぜひ、もうける農業を実践して見せて欲しいと要望されてこの島に残ったわけです。

ですので、プロはプロらしく、農業で1000万円儲けなければと思って努力している最中です。何年経ったら実現できるか分かりませんが、1000万円儲かる農業をするのが今後の夢ですね。

1人で作業するのであれば、1ヘクタール(10反)が柑橘農家の限界といわれています。ということは、単純計算で、10アール(1反)で100万円の収益が必要。つまり、1反100万円儲けられる新しい品種が作れたらいいということになります。

私は、農家であり、ずっと研究者であり、自由人でありたいと願っています。そのために、新しい技術を取り入れ、自分で考えるおもしろい農業をしていく。農業の改革をして、自由人になろうと呼びかけているところです。

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▲休憩所に掲げられている「農家のあるべき姿」は、玉村豊男さんの言葉をレモンにアレンジした自由人としての心構え

PROFILE

移住先エリア

移住先周辺の地図であり、正確な場所ではありません。

脇 義富(わき よしとみ)さん(63歳)
平成19年4月に上島町岩城島にIターンし柑橘農家に。
息子さんご夫婦と3人のお孫さんとの6人暮らし。

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