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移住者インタビュー

静かな森のアトリエで生まれる木工品を全国へ

新居浜市山暮らし起業

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新居浜ICから車で約15分。山のふもとの小さな集落に、築70年の納屋を改装したギャラリー「ユリイカ」はある。京都府出身で木工作家の松尾遵(じゅん)さんは、約10年前に奥様のふるさとである新居浜市にIターン移住した。自らの手でリノベーションした心地よいアトリエで、木の温もりを活かした作品を生み出している。

Q移住するまでの経緯を教えてください

移住するまでは、ずっと京都で暮らしていました。木工を始めたのは、20代の後半からで、それまでは音楽をやっていました。ライブハウスでPA(音響設備の技術者)をしたり、今の仕事とは全然違うことをやっていて。はっきりとは覚えていないのですが「僕ができる事は音楽じゃないんだ」と気づいた時に、木工がスッと入ってきたんです。音楽をしている時は音楽をつくっていますよね。それが木に変わっただけで、今振り返ると「モノをつくる」ということが軸だったのかなと思います。京都の山奥で、漆工芸作家のお手伝いをしながら木工の基礎を学び、独立するのを機に、自分の居場所を探していたところ、偶然、新居浜が移住先として見つかったという感じです。

Q移住先を新居浜に決めた理由は?

妻が元々、新居浜市でも海側の地区の出身で、何度か新居浜に来たことがありました。僕自身、どこでやりたいというこだわりがなくて、沖縄の宮古島とか、いろんなところを見に行ったのですが、なかなかココという場所が見つからなくて…。ひとまず、新居浜市内の違う場所に住んでみたところ、地元の不動産情報がよく入ってくるようになって。たまたまフリーペーパーに載っていたこの物件を下見に来て、ひと目惚れしてしまいました(笑)。

Qこの場所にひと目惚れした理由は?

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ここは、僕が思っていた新居浜の印象とはちょっと違ったんです。国道から脇道に入り、高速道路の高架橋を越えた瞬間、空気がガラッと変わって。谷を抜ける風の影響なのか、新居浜にもこんな静かで穏やかな場所があるんだと驚きました。下見に来た時は、ちょうど店の前のしだれ梅が満開で、建物の外観もすごく気に入って。店をするのならココだと、引っ越してきました。

Q移住するまでの新居浜はどのようなイメージでしたか?

普通の地方都市というか、工業都市というか。本当によく見る感じの「一地方都市」という印象でした。でも、実際に住み始めて分かったことは、ものすごく暮らしやすい場所だということ。特に、食べものが一番驚きました。魚や野菜、果物と、いい食材が京都よりも安く手に入る。愛媛の食べ物は食材自体が力強いから、こねくり回さなくても、そのままでおいしくいただけますね。京都から移住したというと、「何でそんないいところからわざわざ来たの?」と聞かれることも多いのですが、実は京都は、気候的には住みにくい場所。盆地なので、夏はすごく暑いし、冬はものすごく寒い。どちらかというと、京都は遊びに行く場所という感じの方がいい土地なのかもしれないですね。

Qアトリエや店舗の改修も自分でされたのですか?

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はい。母屋は昔ながらの日本家屋で、窓も少なく、少し暗い感じだったので、大改造をしました。畳を取ってフローリングに替えたり、天井を抜いて、カベを塗り直したり。最初の1年は母屋を改造し、2年目にアトリエを整えて、3年目に店舗の納屋をリフォームしました。店舗部分の納屋も築70年ぐらいだったので、新しい建材が似合わない。だから、新居浜の海で拾ってきた流木とか、船の渡し板とか。散歩の途中で解体する家を見つけた時にわけてもらった廃材も活用しました。店舗の改修までに3年かかったので、10年前に引っ越してきて、この店をはじめてから7年目になりますね。

Q新居浜に引っ越してきて、仕事面での影響はありましたか?

うちの主な販売先は、都市部の家具店やデパートのテナントへの卸売なので、制作する場所の影響はあまりないですね。ここで作って、売っているだけでは、全国に知ってもらうルートがないので、毎年、春と秋に、僕らのような人たちが全国から集まるクラフトフェアなど、人の多いイベントに出向いて、宣伝がてら販売を続けています。クラフトフェアには、バイヤーさんも来られているので、そこで卸先が見つかることもあります。

Q店舗での販売はどうですか?

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今は、作品を作る時間を大切にしたいので、店は週に1、2回しか開けられませんが、地元の方がわざわざ店まで足を運んでくださるのがありがたいですね。新居浜では、僕のようなことをしている人が少ないので、気づいてもらいやすいのかなと思います。京都は人口も多いし、同じようなことをやっている人も多いので、気づいてもらえない可能性がある。そういう意味では、ここは利点があるかなと。一過性で終わらないようにしないといけませんね。

Q 新居浜にちなんだ作品もつくられていますね

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せっかく、愛媛に来たので、地元材も使いたくて。皿のシリーズは愛媛県産のヒノキを使っています。漆で仕上げて、カレーや油もの、水ものでも大丈夫な器にしました。他にも、別子銅山の産業遺産である「えんとつ山」の赤レンガの煙突をモチーフにした花器も作りました。松山や新居浜でイラストをやっている人を集めて、煙突にちなんだグッズも何点か作って販売するイベントもやりましたね。

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Q 店には、ほかの作家さんの作品も置いてありますね

自分が作った木工品だけを並べると、空間が一色になってしまうので、陶器や手ぬぐいなどの雑貨も置いて色合いをつけたほうが楽しいかなと。いつ来ても同じだと、おもしろくないですから。クラフトフェアなどで知り合った全国各地の作家さんの作品を仕入れたり、四国ではなかなか手に入らない北欧雑貨などをテーマにしたフェアも年に数回企画しています。

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Q 移住して苦労したことはありますか?

あまりないですね。傍から見たら苦労に思えることも、自分にとっては苦労に感じません。地元の方には温かく迎えていただきましたし。ただ、来た最初はちょっとしたことを気軽に頼める人にはなかなか出会えませんでしたね。家の改修の相談するときなど、信頼関係が大切ですが、安心して任せられる人を見つけるまでに、少し時間がかかりました。

Q 休日はどのように過ごしていますか?

実は、休日というのが思いあたらないんです。家にいたら、やらないといけないことが山積していて。草刈りや家の修繕、猫やうさぎなど動物の世話もある。どこまでが仕事で休日なのか(笑)。僕の場合、自分のやりたい仕事で生活をさせてもらっているので、休日が絶対に欲しいというわけでもないですし。特別に何かをするという休日があるとすれば、都会に行くことですかね。ここで作品を作っていますが、全国区で通用するものを作り続けなければ、やっていけないと思っているので、その視点だけは維持できるように、街に情報収集にでかけて、こちらではやっていない音楽や舞台などを見る時間も大切にしています。

Q 街に出て、刺激を得られているんですね

たぶん、僕は街で暮らす方と逆の動きをしているんでしょうね。街の方は普段、自然が身近にないので、休日にハイキングや山に行きたいと思われるのでしょうが、僕の場合は毎日がキャンプみたいなものなので(笑)。
僕は移住してきて、いいなあと思ったことしかないんですけど、都会に憧れる若い人が多いのも理解できます。都会のいいところって多様性じゃないでしょうか。いろんな人がいて、いいところも悪いところもある。いい刺激にもなるし、そこからクリエイティブなことも生まれやすい。都会に出ることで、逆に自分が住んでいた土地の魅力に気づくこともあると思います。都会のいいところを吸収した人が、地方へ移住することで、きっと、いい回流が起きるんじゃないかと思いますね。
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Q 今後の目標はありますか?

僕は音楽が好きなので、音楽を聴ける小屋を建てたり、もうちょっと畑をやりたいなとは思いますけど、仕事に関しては、これという目標は思いあたらないんですよね。僕のような仕事では、新しい作品を考えるのは至極、当たり前のことなので、取り立てて目標というものはないですね。

Q 作品のアイデアはどういう時に浮かぶのでしょうか?

木工を作るからといって、ほかの木工作品を見ることが参考になるかというとそうでもなくて、全く違うジャンルにアンテナを張っている時に、いいアイデアが浮かぶことがありますね。芸術は非日常的なものではないし、何が発端になるか分からない。アイデアの引き出しをいっぱいもって、いろんなものを詰めていくことを大切にしたいですね。

Q 移住を考えている方へのアドバイスをお願いします

移住される方の年齢や、バックグラウンド、どういう経験を積んでこられたかで、掛ける言葉は変わってくると思いますが、あんまり自分の価値観を地域の人に押しつけ過ぎないことが大切なのではないでしょうか。他所から移住者を受け入れる側は、どうしても構えてしまうところがあると思うので。もちろん、移住先で「これをしていきたい」ということに関しては、多少の主張は必要だと思います。簡単に成し遂げられないこともあると思いますが、地域にとってもいいことであれば、時間をかけて、少しずつ歩みを進めていくといいのではないかと思います。
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PROFILE

移住先エリア

移住先周辺の地図であり、正確な場所ではありません。

松尾遵さん(39歳)
京都府出身の木工作家。新居浜市内でギャラリー「ユリイカ」を経営。

ギャラリー「ユリイカ」ブログ
http://blog.eureka-akerue.com/

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