お問い合わせ
ビール好きが高じて大阪にあるクラフトビール会社で修業を積み今治市大三島にて独立した高橋さんご夫妻。2年半かけて見つけた参道の古民家で「大三島ブリュワリー」をオープンし、地元に愛されるクラフトビールを醸造している。
なぜ大阪での生活から島暮らしを選んだのですか?
大阪では残業や出張も多く忙しい毎日でしたが、クラフトビールの製造から販売まで自分たちの手で行うためやりがいを感じていました。しかし会社の規模が大きくなるにつれ、社内の体制が分担制にシフトしていき、私たちの求める働き方から次第に変わっていきました。それでも自分たちの大好きなクラフトビール作りができるので充実していましたね。
ある時主人が出張で不在だったので、以前からずっと憧れていた屋久島に一人旅に行ってみたんです。その旅行で屋久島が本当に気に入ってしまい、島暮らしに憧れるようになったんです。その日から何かある毎に屋久島屋久島と言っていたので、主人もだんだん気になってきたようで(笑)二人で一緒に屋久島に行ってみたら、主人も大変気に入って島暮らしを現実的に考え始めました。
大三島への移住に至った経緯を教えてください。
始めは屋久島での生活を考えていましたが、電力供給が一時的に不安定になってしまう時が稀に起こるためビール作りには適していないことが解りました。それでも島暮らしに対する憧れがあったので、主人が幼い頃よく通っていたしまなみ海道の島を候補にしました。実は主人が松山市出身で、祖母の家が広島県呉市にあるので幼い頃よくしまなみ海道を通っていたそうです。当時からとても綺麗な場所だと記憶していたみたいです。
しまなみ海道の大三島、伯方島、大島を実際に回ってみましたが、大三島の景色がとても綺麗で気に入ったので大三島に住むことに決めました。
大三島のどんなところが魅力的ですか?
やはり大三島に住む人そのものが魅力だと思います。実は大三島に来てから2年半良い物件が見つからず、市営住宅で暮らしていました。その間夫婦二人で家を探しながらも、農家さんや農協のお手伝い、旅館、電気屋さん、学習塾の先生、ガソリンスタンドのアルバイトなど色んな仕事をしていました。ガソリンスタンドに毎日出勤していた時は私は一体なにをしに来たんだっけ?と思いましたが、職場の先輩の方たちにはとてもお世話になりました。なかなか良い物件が見つからない中、先輩が給油に来たお客さんに、島内に貸してもらえる空き家がないか聞いてくれたり、食べきれないほどのお野菜をいただいたりなど、とても親切にしていただきましたね。
どのようにして現在の物件を見つけたのですか?
なかなか理想の物件が見つからなく途方に暮れていた時に、大山祇神社参道沿いの居酒屋の店主と雑談していたところ、「この参道も活気が戻ればいいんだけど」と話していたのを聞いて、「そうだ、参道だ!」と思ったんです。そこから参道沿いの空き家物件を一軒ずつ直接交渉し、今の店舗兼住居の物件が見つかりました。
お店がオープンしてから暮らしはどのように変わりましたか。
オープンしてからも、しばらくはガソリンスタンドへお手伝いに行っていたのでそこまで大きく生活は変わりませんでした。でもその頃は特に忙しかったですね。現在は夫婦二人でいる時間が一気に増えたので、意見が衝突することも少し増えましたね(笑)
島ではクラフトビールは受け入れられましたか?
初めはとても珍しがられましたが、地域の方たちは準備段階から応援していただきました。以前勤めていたガソリンスタンドの先輩でビールを飲まない方でさえも、そのご家族や知り合いを連れてきてくれて凄く応援してもらいました。大三島でアルバイトした2年半は大切な時間だったとしみじみ感じましたね。
季節によってビールのメニューが変わるのですね。
はい。旬のモノを使ったフレーバーやその時の気分でオリジナルビールを作っています。初めは生ビールのみにしようと考えていましたが、車で来店されるお客様も多く持ち帰りの要望が強かったので、ペットボトルに入れたビールをお持ちかえりすることも出来るようにしました。地元の方たちは水筒やマイグラスを家から持ってきてくれて「これに入れて」という方もいらっしゃいます(笑)。またマイグラスを持ってきてくれる方には、ビールの量り売りにも対応しています。
今後の目標はありますか?
今後お店の規模を大きくしたいとはあまり考えていないんです。それよりも自分たちがつくるビールの味をより追求して、皆さんに楽しんでもらいたいと思っています。自分たちの作るビールでお客様が笑顔になることが一番の幸せですので、今後もお客様の顔が見える規模で続けていきたいです。
移住者へアドバイス
まずは地域へ飛び込んでその土地に合うかどうか見てみるのがいいのではないでしょうか。考えすぎるよりまず行動して飛び込んでみると、その土地に自分が合うかどうか意外と解ります。私たちも初めから大三島に決めていたわけではなく、実際に大三島に住んでみて自分たちに合うと感じたので今も住んでいます。あとは夢を持っている人にこそ田舎に来てほしいです。田舎だからこそ、理想の暮らしや夢が実現できることもあります。